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根管内嫌気培養

実態顕微鏡(マイクロスコープ)でも判断できない根管内を確実に無菌にする治療法

根管治療とは

根管治療とは、「抜髄(初回根管治療)」「感染根管治療(再根管治療)」2種類の治療の総称です。

抜髄(初回根管治療)
虫歯がエナメル質、象牙質を通過して歯髄(歯の神経)にまで到達したとき、細菌に感染した歯髄(歯の神経)を抜く治療を抜髄といいます。(注:感染していなくても便宜上歯髄を抜く場合も抜髄という)
抜髄後、根管(歯髄という歯の神経が入っていた歯の根の部分の空洞)を消毒して完全に無菌化して防腐剤を詰めて治療を終了します。(その後、心棒=土台=コアを立てて冠=クラウンを被せます。)
感染根管治療(再根管治療)
抜髄が成功しなかったとき、つまり、根管内が無菌化出来ておらず、再度、歯の神経(根)の治療(=根管治療)をやり直す処置を感根処(感染根管処置)といいます。
下の表は平成21年度の日本国民全体の保険診療を使った根管治療(歯の根の治療)の結果です。抜髄の数に対していかに感根処(感染根管処置)、つまり、抜髄後の根管治療のやり直しの治療が多いかがわかります。
平成21年保険診療請求回数(永久歯、全国)
年間回数は同年6月のデータより推移
月間6月審査分 年間(H21)審査分(推計)
抜髄 500,387 6,004,644
感根処
(感染根管処置)
624,704 7,496,508
計 13,501,152件
e-Stat 政府統計の総合窓口
2010年7月15日公表

出典:須田 英明.わが国における歯内療法の現状と課題:日歯内療誌32(1):1〜10 2011

抜髄後のやり直し治療がなぜ多い?

何故、抜髄後のやり直しの治療である感根処(=感染根管処置)という根管治療がこれほど多いのか?
根管内を無菌化して治療を終了するときに、保険治療では正確に無菌になったことを確かめる方法がありません。
多くの場合、消毒をした後、もうこれで歯の根管内は無菌になったであろうという歯科医師の経験や勘や推測で消毒を終了し、根管内に防腐剤を詰め、根の治療を終了し、心棒=土台=コアを立てて冠=クラウンを被せます。
もし、数年たってレントゲンや臨床的に症状が出なければ、根管治療が成功していたと時間が経ってから解るのです。
数か月から数年経ってから症状がでれば、根管内を無菌にしたつもりが無菌になっていなかった、つまり、根管治療が成功しなかったと後で解るのです。
そうして治療を繰り返すことでさらに治りにくくなり、歯質も薄くなり、やがて抜歯となることもあります。

根管治療の目的は根管内を無菌にすること。
しかし…、
根管は非常に複雑な形態をしています。実態顕微鏡(マイクロスコープなど)を用いて根管内を診ても根管口(歯の根の根管)の入り口は見えますが実際に細菌が無菌になったかどうかはわかりません。
マイクロスコープ

根管は複雑に入り組んでいます

根管内嫌気培養法

保険で根管治療を行い、成功すれば保険で安く、簡単に治療ができて良かったということになります。しかし、もし成功しなければ、再度治療をやり直すことになります。せっかく被せた冠=クラウンを外し、心棒=土台=コアを外すので歯が非常に傷みます。再治療になると根の症状は難治化し、治療の成功率は極端に下がります。再度、保険で根管治療を行うと治ることもありますが、条件が悪くなります。根の中の細菌は、前回の治療での根の消毒を生き延びた強い細菌が分裂して増殖した強い細菌の集まりです。消毒薬が届かない複雑な根管形態があるかもしれません。

そこで、根管内の細菌が実際に無菌になったかどうかを調べる治療法があります。それが根管内嫌気培養法です。保険の一般の根管治療は、根管内の細菌が消毒で無菌になったであろうという歯科医師の経験や勘や推測で治療を終了します。対して、根管内嫌気培養法は根管内の細菌を実際に培養を行い、無菌になったことを目で確かめて治療を終わるという根管治療のまさに真髄です。

根管内嫌気培養法は無菌になった事を確実に判断するため、成功率は96%

実態顕微鏡(マイクロスコープ)を使っても
根管内の細菌が無菌になったかどうかを
確かめることはできません!
根管内の治療で問題となる細菌は嫌気性菌です。根管内という酸素が無い嫌気状態で生息する細菌です。チェアーサイド嫌気培養器を用いて、根管内から取り出した細菌を実際に嫌気培養(酸素が無い状態で培養)を行い、無菌になるまで消毒を繰り返し、無菌になったかどうかを確認して治療を終わるのです。
しかし、実際には中々無菌にはならないのが現状です。そこで、根管内から取り出した中々死滅しないしつこい細菌に対して、抗生物質感受性試験を行い、一番よく効く薬を選び殺菌を行うこともあります。
根管内嫌気培養法で根管内が無菌になったということを確かめて治療を終了します。成功率は96%というデータがでています。この96%という値は、どこに行っても治らない難治性の根尖病巣を含めた値なのでかなり高い成功率だと言えます。その成功率の高さは平成21年度の日本国民全体の保険診療を使った根管治療(歯の根の治療)の結果と比較するれば明白です。
ここまでしたのだから、この方法で治らなければ根管治療の限界であると当医院では考えています。

究極の歯の根(神経)の治療 根管内嫌気培養について詳しくはこちら

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