金属アレルギーの方必見!金属アレルギーガイド

お口の中の金属アレルギー
─ 症状やアレルゲンの成分について

金属アレルギーとは、指輪やネックレスなどの金属が肌に直接触れることで、痒みやかぶれ、発疹など皮膚に炎症が現れることを言います。しかし金属アレルギーは貴金属だけで起きるわけではありません。実は歯科治療で使われる金属が原因となって、アレルギー症状を引き起こすことがあります。歯科素材で引き起こされる金属アレルギーについて詳しくご説明します。


なぜ口腔内の金属がアレルギー症状を引き起こすのか

保険治療で使われる金属素材は、経年劣化とともに金属が溶け出してイオン化して体内に入り込みます。体内に入り込んだ物質はタンパク質と結合し、アレルギーの原因となる「アレルゲン」という物質に変化します。ヒトの体にとってこのアレルゲンは異物とみなされ、体外へ排出しようとして過剰反応が起きてしまうことがあります。これが口腔内の金属アレルギーと考えられています。


歯科治療で引き起こされる金属アレルギーの症状とは

歯科治療で使用される金属とは一般的に「銀歯」と言われているもので、詰め物や被せ物に使われます。銀歯は保険治療において使われ、今も多くの歯科治療で使われていることが実状です。この金属で作られた銀歯が口腔内にあることで引き起こされる可能性のある症状は次のようなものがあります。


  • 口内炎、口角炎、口唇炎、舌炎、口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)、味覚異常など口腔内に症状が表れるもの
  • 接触性皮膚炎、掌蹠膿胞症、アトピー性皮膚炎のような症状、湿疹など皮膚に症状が表れるもの
  • 頭痛、肩こりなど全身に症状が表れるもの

歯科治療で使われる金属と成分について

歯科治療で使われる素材で、アレルギーを引き起こす可能性のある金属とその成分についてご説明します。


12%金銀パラジウム合金

歯科治療で用いられる代表的な金属です。保険診療で取り扱われており、主なものとして虫歯治療の詰め物や被せ物があり、一般的に「銀歯」と呼ばれています。また入れ歯のクラスプや歯列矯正の装置にも使われます。金銀パラジウム合金の含有物として「金12%、銀46%、パラジウム、銅それぞれ20%、その他少量の銅、スズ、亜鉛などが含まれています。
海外では人体への影響が問題視されており、ドイツでは「銅を含有するパラジウム合金は使用しないこと」と勧告されています。

銀合金

主に乳歯の詰め物や永久歯の被せものの土台として使われます。名前のとおり銀の含有率が70%前後、その他銅などの金属を含んでいます。非常に固く、土台に使用した場合歯の根を痛める可能性があります。

アマルガム

古くから使われている歯科素材です。銅、スズ、亜鉛などの粉末に水銀を混ぜることで硬化することを応用し、歯科治療に使われるようになりました。アマルガムは成分に水銀が含まれており、毒性が懸念されることから現在ではほとんど使用されていません。水銀は体内に吸収されやすい上に分解されにくいため、体内に蓄積されてしまいます。現在では使われることはめったにないアマルガムですが、中高年の年代の口腔内には未だよく見られます。

今も多くの歯科治療で金属が使われている

このように歯科治療には色々な金属が使われています。保険診療の詰め物や被せ物以外にも入れ歯のクラスプ(バネ)などで使われます。また保険診療だけでなく、自費治療にも金属が使われます。入れ歯の場合は床(しょう)の部分がプラスチックでなく金属が使われますが、この場合、白金合金またはコバルトクロム合金が使われます。歯列矯正の装置ではワイヤーおよびブラケット部分に金属が使われています。またインプラントは純チタンまたはチタン合金の素材で作られていますが、チタンは人体との親和性に優れており、アレルギー症状が出るリスクは非常に低いといわれています。しかし稀にチタンアレルギーがある人もいます。また粗悪なインプラント体の場合、チタン以外の金属が混ぜてあることがあり、金属アレルギーを引き起こす可能性が高くなります。


金属素材が口臭を招くことも

銀歯など金属素材が口腔内にあると、口臭の原因になります。銀歯と隣接する歯の間に汚れが溜まりやすく、食べかすが腐敗して臭いが発生します。また銀歯の下で再び虫歯になる「二次カリエス」になることで特有の匂いが出てしまいます。うがいやセルフケアだけで緩和することは難しく、金属素材を口の中から取り除くことがいちばんの解決策です。
また口の中に金属素材がある場合、マウスピースの装着や抗生物質の服用も口臭が強くなる傾向があります。マウスピースは常に清潔にすることで改善が可能ですが、抗生物質は一定期間服用しなければいけません。服用期間が終わればある程度口臭は改善されますが、うがいやセルフケアだけでは限界があります。


タバコが金属アレルギーのリスクを高める

タバコが与える健康への害はよく知られていますが、タバコによる健康被害の一つに、金属アレルギーがあります。口の中に銀歯などの金属素材があると、喫煙することでアレルギーが引き起こされると言われています。歯科で使われる金属素材はニッケルが含まれており、1ヵ月あたり25 本以上喫煙習慣がある人は、ニッケルに対して金属アレルギーのリスクが高まることがヨーロッパでの研究でわかっています。


金属アレルギーを引き起こさないためにも金属を使わない治療を

お口の中に金属があることで引き起こされる症状は様々です。これらを改善するためには金属を使わない治療を受けることです。メタルフリーの治療法や費用は様々で、歯科医院により異なります。メタルフリー治療や費用について詳しく知りたい方は、是非当院にてご相談ください。

パッチテストでわかる金属アレルギー
─ 検査方法・価格・注意事項について

金属アレルギーとひと言で言っても、金属には様々な種類があります。ピアスや指輪など貴金属を身につけることで起きるアレルギー反応から、歯科治療で起きる金属アレルギーまで、その原因は様々です。アレルギーの原因を調べる方法として、パッチテストがあります。ここでパッチテストの検査方法や費用、注意事項などについて詳しくご案内いたします。


パッチテストについて

金属アレルギーは指輪やピアスなどの貴金属や歯科治療で使われる金属素材などに含まれる成分により、皮膚炎などのアレルギー反応が起きてしまうことがあります。金属には色々な成分が含まれており、アレルギーテストを行うことで、ご自身がどの金属に対してアレルギー反応が表れるのかを特定し、そのアレルギーを除去することでトラブルが軽減することがあります。
アレルギー検査には「パッチテスト」という方法があり、この検査で指輪、ピアスなどの貴金属や歯科治療で使われる16 種類の金属に対するアレルギー反応を調べることができます。


検査金属と試薬について

テストでは、ピアスや歯科で使用される金属の17種類(アルミニウム、コバルト、スズ、パラジウム、マンガン、インジウム、イリジウム、クロム、ニッケル、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、水銀を検査することができます。


パッチテストの検査部位と検査方法について

次に金属アレルギーに対するパッチテストの具体的な検査方法についてご案内します。検査部位は通常、背中で行われます。左右の肩甲骨の間よりやや下あたりの部位にパッチを貼り付けて行います。この部位以外では上腕外側がありますが、ほとんどの場合背中で行われます。


  • 検査当日
    検査の場所は背中で、それぞれの金属に対する金属試薬を紙に染み込ませ、背中に貼り付けたパッチを除去してどの金属に対するアレルギーなのかを判定します。
  • 第一回判定日(2日後)
    一回目の判定は開始より二日後に行います。背中に貼り付けたパッチは除去されているので、この日から入浴が可能となります。
  • 第二回判定日(3日後)
    同じように判定を行います。
  • 第三回判定日(7日後)
    判定を行い、この日でパッチテストは終了となります。

パッチテストは検査を行ってすぐ結果が出るわけではありません。判定日を3回に分け、1週間かけて最終的な結果を出します。


パッチテストの注意点

パッチテストを行う上で、いくつかの注意点があります。よくお読みになった上で検査を受けるようにして下さい。


  • アレルギー検査は予約が必要です。予約日に来院できない場合は必ず前日までに連絡をお願いします。
  • パッチを貼り付けてから第一回判定(2 日後)までは入浴ができません。下半身のシャワーは可能です。また多量に汗をかかないよう、激しい運動は控えてください。汗をかきやすい夏場はあまりお勧めできません。髪を洗う場合、検査部位を濡らさないように気をつけてください。
  • 痒みが出てもパッチをはがさないようにして下さい。もし我慢できないくらい激しい痒みや痛みが生じた場合、除去することがあります。速やかに来院してください。
  • 検査液が衣服に付く場合があります。多少検査液がついても構わない服装でお願いします。また女性は貼り付けたパッチがずれてしまうため、ブラジャーをつけることができません。ご了承ください。
  • パッチがずれたりはがれたりしないよう、汗をかかないようにしてください。また大きな荷物を抱えたりすることも控えてください。

またこのパッチテストはどこの歯科医院でも受けることができるわけではありません。皮膚科およびパッチテストを行っているクリニックにお尋ねください。


検査費用について

パッチテストは健康保険が適用され、3 割負担の場合およそ1,400 円程度かかります。(パッチテストのみの費用。診察代は含まない)
詳しくは各クリニックおよび皮膚科にてお尋ねください。


パッチテスト以外の金属アレルギー検査について

当院にて行うことができるパッチテスト以外の金属アレルギー検査についてご案内いたします。


  • 毛髪ミネラル検査
  • 尿、便、血液検査
  • 口腔内電流検査
  • 電磁波テスト
  • 遺伝子検査
  • オリゴスキャン

詳しくは当クリニックまたは皮膚科にてお尋ねください。


金属アレルギーの症状が出る前の予防策について

金属素材による詰め物や被せ物は一般的に「銀歯」と呼ばれており、保険治療で行われる治療法です。保険適用のため安価で治療できますが、金属アレルギーの他にも銀歯の下で再び虫歯になる二次カリエスの症状が出るなど、デメリットが多い治療法です。このような症状を防ぐ予防策は、金属素材をお口の中から除去し、金属を使用しないセラミック治療を行うことです。
セラミック治療は金属を使わない治療なので金属アレルギーの症状が出ることはありません。(ただしメタルボンドは内側に金属を使用しているため、金属アレルギーの症状が出ることがあります)
また歯との接着性が良く、銀歯のように経年とともにセメントが溶け出す心配もありません。二次カリエスを防ぐための予防にはセラミック治療が最も優れた治療法と言えるでしょう。


セラミック治療の種類と特徴

セラミック治療には全てがセラミックでできているオールセラミック、強度に優れたジルコニアを含んだジルコニアセラミック、歯科用プラスチックとセラミックを混ぜたハイブリッドセラミックなどがあり、詰め物や被せ物に使うことで金属アレルギーを予防することが可能です。また土台は金属ではなく、ファイバーコアを使用します。
セラミック治療は審美性にも優れており、見た目が美しいことも特徴です。セラミックは汚れが付きにくい特徴を持ち合わせているため、美しさが長持ちします。
このように金属素材を使用しないセラミック治療は体に優しく、美しさも兼ね備えた治療法です。


歯科治療と金属アレルギー
─ 具体的な治療方法について

歯科治療で金属素材を使うことにより、様々な症状が起きてしまう金属アレルギーを起こさせないためには、金属を使わない治療を行うことで防ぐことが可能です。金属素材を使うことで引き起こされる影響と、金属を使わないメタルフリー治療についてお話を進めていきます。


金属を使った歯科治療の影響とは
アマルガム

かつての歯科診療では金属を使った治療が主流でした。特に中高年層の詰め物や被せ物には「アマルガム」という素材が使われていたことが多く、今もこの年代の口の中にアマルガムが詰めてあることはめずらしくありません。アマルガムは銀、スズ、銅、亜鉛そして水銀が含まれており、毒性が強い金属です。劣化したアマルガムがイオン化して口腔内に溶け出し、水銀を含んだ蒸気を吸い込むことで体内に取り込まれてしまいます。含有率が50%と高い割合で含まれている水銀は体内に蓄積されることで様々な悪影響を受け、特に脳神経や筋肉など神経に対して症状が出ます。主な症状として疲れやすい、集中力不足、筋肉痛、胃腸障害、不眠などがあり、アマルガムが口腔内にあることで引き起こされてしまいます。


そしてアマルガムは患者様のみならず、治療にあたる歯科医師やアシスタントなど、従事者にとっても危険な素材です。アマルガムを除去する際に水銀を含んだ蒸気が大量に放出されるため、治療を行う歯科医師そのものも水銀被害者であると言えます。このように、水銀は患者様と歯科従事者双方にとってとても危険な金属素材なのです。アマルガムは熱で気化し、除去する際の摩擦熱で気化した蒸気を吸い込んでしまうため、アマルガム除去をするときは、十分に除去対策を行っている歯科医院で治療を受けることが望ましいと言えます。

パラジウム合金

今もなお使われている金属素材で、金属アレルギーを引き起こす原因物質のひとつです。
また歯ぐきの黒ずみの原因にもなり、審美的にも美しくありません。先進医療国では歯科治療でパラジウムを使う治療を行わず、パラジウムが与える体への悪影響を考慮した考えのもと、パラジウムを含まないパラジウムフリー治療を行っています。


また被せ物の土台も金属が使われていることがあります。強度が非常に強い金属を土台にすることで歯の根に過度の力がかかり、最悪の場合、金属アレルギーだけでなく歯の根が割れてしまうことがあります。歯の根が割れると歯を保存することが不可能となり、抜歯あるいは分割抜歯を行う必要があります。

金属を使わない「メタルフリー」治療

金属アレルギーを引き起こさないためには、金属素材を一切使わない「メタルフリー治療」を行います。また長年にわたり口腔内に入っている金属素材が溶け出した金属イオンがアレルゲンとなるため、これらの金属を取り除くことで症状が改善されることもあります。このように、金属を使わない、また口の中から取り除き金属をなくす治療を「メタルフリー治療」または「ノンメタル」と言います。


オールセラミック、ジルコニア、ラミネートベニア

メタルフリー治療の代表とも言えるオールセラミックやジルコニアは、体にとって非常に優しく、見た目にもとても美しい素材です。また「ファイバーコア」と呼ばれる金属を使わないファイバーコアには適度な「しなり」があり、噛んだときにも歯の根に過度の負担をかけません。

ノンクラスプデンチャー

入れ歯に使われている金属のバネも金属アレルギーの原因になります。金属を使わない「ノンクラスプデンチャー」という部分入れ歯にすることで、金属アレルギーを引き起こす心配がなくなります。また見た目も部分入れ歯とはわからない自然な見た目もノンクラスプデンチャーの特徴です。

クリアブラケット、ワイヤー

矯正治療に使う矯正装置をメタルではなくプラスチックやセラミックブラケットにすることで、金属を使わずに安心して矯正治療を進めていくことができます。

ジルコニアインプラント

インプラントの素材はチタンまたはチタン合金がほとんどです。生体親和性に優れているチタンですが、チタンアレルギーをお持ちの方は、インプラントが原因で不快な症状を引き起こすことがあります。インプラント体をジルコニアにすることで、アレルギーの心配をなくすことができます。

パッチテストを受けて金属アレルギーかどうかを知る

金属アレルギーは体に不快な症状を引き起こします。金属アレルギーの原因がどの成分によるものかを調べることで、原因となる金属を特定することが可能です。
その検査方法としてパッチテストがあります。パッチテストは皮膚で行うため、それほど大きな負担はかかりません。まずはどの金属による金属アレルギーなのかを調べることが先決です。


銀歯は金属アレルギーの他にもデメリットがたくさん

金属アレルギーの原因のひとつに、銀歯が挙げられます。銀歯は保険治療で使われ、安価で治療が可能です。しかし残念ながら銀歯はデメリットが多い治療なのです。保険適用のため一回一回の支払いは安く済みます。しかし銀歯は内部で虫歯が広がる「二次カリエス」を引き起こします。金属素材は歯との接着性が悪いため、歯と金属の段差から虫歯菌を含んだ唾液が少しずつ侵入します。そのため銀歯の下で虫歯が広がって再治療になってしまいます。保険でまた銀歯を入れまた再治療・・・。この繰り返しの結果、最終的に歯を失ってしまう危険性があるのが銀歯の怖いところなのです。金属アレルギーだけでなく、二次カリエスを引き起こすのは金属を使った治療であることを知っておくべきでしょう。


メタルフリー治療で、健康な体を導きましょう

歯科治療で使われる金属素材が体のあらゆる不調を引き起こす原因のひとつとなるならば、それらの原因となる金属を取り除き、体に優しい素材を使った治療を受ける必要があります。金属アレルギーが心配な方や不快な症状に悩む方は、いちど歯科医院で相談してみて下さい。


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