異物を直接攻撃する細胞性免疫とは異なり、一度体内に侵入した抗原を細胞内に取り込み、そこで抗体を作ることで異物から体を守るという働きを有しているのが液性免疫です。液性免疫の働きは非常に重要です。しかしこの働きが細胞性免疫の働きを大きく上回ってしまうと、金属アレルギーが発症してしまいます。そのため歯医者は金属を用いた歯科治療を行う患者に対し、この点に関する説明を行うことがあります。体質によって液性免疫が過剰に働いてしまうことがあり、金属アレルギーだけではなくその他のアレルギーを発症してしまう人もいます。そのような人に対し、歯医者は歯科治療を行う前にパッチテストや毛髪検査を行うことを勧めることもあります。口内の状態は免疫機能に大きく関わっています。そのため口内を清潔に保っていれば免疫機能のバランスが保たれ、歯医者が歯科治療を行う際に金属を用いたとしても金属アレルギーを発症することはありません。しかしもともと液性免疫が優位になってしまう体質である場合は口内を清潔に保っていても金属アレルギーを防ぐことは難しく、そのような患者に対して歯医者は歯科治療にプラスチックや樹脂、それにセラミックなどを用いることがあります。
そもそも歯医者が歯科治療に使用した金属が原因で金属アレルギーが発症するというのは口内で溶け出した金属を体が異物とみなし、それに対して液性免疫が働くためです。先にも述べたように液性免疫の働きが細胞性免疫の働きを大きく上回ってしまうとアレルギー反応が生じてしまいます。アレルギー反応を抑えるために服用できる薬が販売されています。しかし歯科治療によって使用された金属は常に口内にあり、それが常に少しずつ溶け出している場合は薬を常に飲み続けなければ金属アレルギー反応を抑えることはできません。このような薬の服用は体に害を及ぼす可能性があるために、避けるべきです。口内の悪玉細菌が原因で免疫機能のバランスが崩れている場合は歯医者が勧める定期的な歯磨きや定期歯科検診によって改善されます。しかし体質的に液性免疫の働きが強い人は、歯医者で歯科治療を行う際に金属に代わるものを用いることで金属アレルギーを防ぐしか方法はありません。
それでも最近では先に述べたような特殊なプラスチックや樹脂を用いて歯科治療を行ってくれる歯医者も増えており、それらの素材は保険が適用されることもあるために高額な治療費を支払う必要はありません。金属アレルギーがある人でも、様々なチョイスがあるのです。
2016.01.03