クロムとニッケルは、体内にある程度貯まると金属アレルギーが起こりやすい代表的なものです。非常にかゆくなり、場合によってはかきむしってアトピー性皮膚炎をもしのぐかといわれるほど肌が荒れてしまうことがあります。とうぜん、最初はただの皮膚炎か?虫さされ?あるいは食べ物に起因する?位で診療を開始するので、金属アレルギ-であるとわかるまでには少し手間がかかることがあります。
歯科医ならば、口内の金属、クロム等が長い期間かけて唾液で溶けだして体内に蓄積しているというようなことをかんがえるのですが、皮膚科はいろんなことを考えなければならないので、いきなり金属アレルギ-にはたどり着きません。最初は何かのアレルギ-でしょうということからになります。以前は虫歯の治療、つめものにアマルガムをはじめとする様々な無害とされる金属が使われていました。今40歳以上の過去に虫歯治療を日本の歯科医で受けた人たちは、たいてい体内に金属があるということがいえるでしょう。当時はそれで正しい治療法であったし、今もそのまま行われている歯科医もあります。
過去に虫歯治療はしたことがないとか、詰め物は全てセラミックであるとか、チタンの詰め物しかしていないという人は別ですが、それ以外の人は夏場においてアクセサリ-で皮膚にずっとくっついている箇所とか、時計の金属ベルトの裏側とか、ピアスの穴とかに炎症が出てきたら、一応金属アレルギ-を疑ってみるべきでしょう。
歯科医の歯医者さんに相談したら、口内に金属の詰め物をみて、クロムかどうかは経験上判断できますし、少し削るとることで何の金属であるかということはわかります。それらの結果と、パッチテストの結果とをすり合わせして、除去するべき金属の詰め物がどれかということははっきりいたします。
クロムは、人間の体を維持するうえで、なくてはならない元素にあたります。これが、欠乏すると糖尿病になる場合もあります。歯科治療を進める時に使用される銀歯(12%金銀パラジウム合金)にはクロムは含まれていません。ただコバルトクロム合金として義歯の一部、1年間から2年間にわたる長い矯正治療で使われる矯正治具のワイヤーに含まれています。
矯正治具は、顎の形を整えて、歯並びを正しいものにする為に24時間、常に口の中にあり、いつも唾液にさらされているので、クロムイオンが常に口内に漂っているということは言えます。矯正治療の半ばで、ワイヤ-による金属アレルギ-であることが判明したら、歯科医は医者さんと相談してマウスピ-ス矯正法等に治療法をシフトし金属との縁をきることが賢明策といえるでしょう。