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ウェストン・A・プライスは多くの患者を診療する中で、「根管治療を受けた歯は感染したままになっているのではないか?」と疑問を抱きました。
そこで、治療不能な慢性的な健康障害を抱える患者に対して、根管治療をした歯を抜歯するように勧めました。そしてそのような患者から抜歯した歯を、ウサギに埋め込む研究を行いました。
根管治療を受けた歯を抜歯すると、ほぼすべてのケースで患者の健康障害は改善されました。そして、ウサギは患者と同じか、似た疾患を発症したのです。
患者に目の疾患があればウサギの目にも疾患が現れ、患者が腎臓病であればウサギも腎臓病を発症しました。皮膚疾患、心臓病、リウマチ、胃潰瘍、膀胱炎、卵巣疾患、静脈炎、骨髄炎など何の疾患であれ、ウサギはすぐに同じような疾患を発症しました。そして、大半のウサギは2週間以内に死亡してしまったのです。
歯の状態が疾患に関わることを証明するため、無菌の歯でも実験が行われました。無菌の歯を埋め込まれたウサギは炎症を起こすことなく、健康なままでした。
プライス博士の実験ではウサギは患者と同じ症状だけでなく、他の症状も数多く発症しました。
例えば、関節炎を患っている患者の根管治療をした歯を4匹のウサギに埋め込むと4匹すべてが関節炎になりましたが、さらにこのうちの2匹は肝障害、1匹は胆嚢病変、1匹は腸の障害、そして2匹は脳障害が起こりました。
歯と歯肉から取り出した微生物によって「優先的局在」と「変性」という2つの重要な現象が実証されました。
口腔内に一般的に生息する連鎖球菌は、どのような環境にも適応する高い能力を有しています。この特性は1940年代に抗生物質の利用が始まった直後に発見されました。
1つ以上の抗生物質に免疫がある抗生物質耐性菌は、現在では「スーパー耐性菌」と呼ばれることがあります。連鎖球菌は最終的には歯根に入り込んだり、心臓や関節に移動したりすると、一段と重度の感染を起こしかねない危険な形態に変化することがあります。
1940年代初頭には、ペニシリンや他の抗生物質が大量生産され使用されるようになりました。
感染症が抗生物質で簡単に治療できるようになったことで、感染症は過去のものとなり病巣感染論は重用視されなくなっていきます。
しかし、その存在は消えることはありませんでした。
初期の病巣感染論に関わっていなかった現代の若い研究者によって、再発見され再び注目を浴びるようになったのです。様々な急性、慢性疾患と口腔内の健康を関係づける研究が多数行われ、医学誌や歯学誌に登場しました。そして、21世紀に入る頃には病院感染論は改めて重要な研究課題と認識されるようになりました。
病巣感染論は現在、論文で十分裏付けられているため、単なる理論ではない事実とし考えられています。今日では心臓に障害を抱えている人、人工関節を使っている人たちは、感染を起こしやすいと考えられており、抜歯などの観血的な処置の前には感染予防のために抗生物質を投与することが常識となっています。
重度の歯周病になると細菌が絶えず血流に入り込み、あらゆる参事を引き起こします。
1900年代初頭は、病巣感染の一時病巣が感染根管や歯根尖病巣であることに研究の重点が置かれていましたが、1980年頃から慢性歯周炎など歯周ポケット内細菌がその主役として捉えられるようになってきました。(たけしの家庭の医学・ためしてガッテン・クローズアップ現代でおなじみ)
歯石取りという医療行為は勿論ですが、歯磨きや咀嚼という日常の行為でさえ細菌が血流に入り込む菌血症を引き起こします。細菌は一度血流に入ると、心臓、肺、肝臓を含めどこでも辿りつき、全身に広がります。歯や舌の上に生息するのを好む細菌がいるように、血流に入った細菌は特定の組織に集合し、コロニーをつくることがよくあります。
その結果、口腔内細菌が関節炎(関節)や心内膜炎(心臓)などの局部的症状、あるいは糖尿病などの全身疾患につながる可能性があります。
微生物学では「本来の環境外にいる、いかなる微生物も病原体と考えるべき」という一般原則があります。つまり、口腔内に生息している細菌は、口腔内にいる限り問題がありませんが、生息域ではない血流に入り込むと、重度の感染を引き起こす可能性があります。
いかなる微生物も、口腔内や消化管ではどれほど良性であっても、血流に入り込めば恐ろしい病原体になる恐れがあるのです。
根管治療をした歯はどのような処置をしても無菌にはなりません。
そして口腔内にある限り、重篤な全身疾患の引き金となってしまうのです。
ウェストン・A・プライス博士は口腔衛生と全身疾患の関係を調べる実験を行い、根管治療で患者から抜いた歯をウサギに移植すると、ウサギは患者と同じような疾患を発症することを発見しました。
根管治療を行なった歯は、強力に殺菌されているはずです。しかし、根管治療の殺菌後も細菌は生き延びて、感染力を残していたのです。数種類の殺菌剤を使って実験が行われましたが、根管治療した歯は様々な局所感染や全身感染を引き起こしました。
歯は硬く密度が高いように見えて、実は穴がたくさん開いているのです。
根管を感染させる細菌は歯の表面ではなく、歯の中に潜んでいます。
歯の構造の大半を占める象牙質は、象牙細管と呼ばれる数百万の微細な管でできています。歯は硬く密度が高いように見えて、実は穴がたくさん開いているのです。象牙細管の数は非常に多くて、1本の小さな前歯にある細管を広げると、その長さは約4.8kmになります。
象牙細管は歯根や血流から歯髄が生きている歯に栄養を与える通路です。歯冠を覆っている硬いエナメル質と象牙細管の境界まで伸びています。細菌は一度象牙細管内に深く入り込むと、そこに一生留まり、抗生物質や殺菌剤は効果がありません。
歯科医師が根管治療を施した歯をどれほど上手に清掃、殺菌しても細菌は常に生息します。したがって根管治療したすべての歯が細菌の繁殖地になる可能性を持ってしまうのです。
ウェストン・A・プライス博士の実験は、感染した歯を強力な殺菌剤に浸けて歯の表面の細菌を完全に殺しても、その歯は感染力を残したままであることを実証しました。
根管治療した歯が口腔内にある限り、歯科医師はどのような処置をしても、歯は完全に無菌にはできないのです。
米国歯内療法(根管治療専門医)学会の設立者の1人で「Root Canal Cover-Up(根管充填)」の著者、ジョージ・E・マイニー歯科医師は次のように述べています。
「根管治療の材料と治療法は、ここ数年で著しく改善しましたが基本的な問題が残っています。細菌は歯の中で生きていて、抗生物質や殺菌剤では排除できません。根管治療した歯で有害な細菌が存在しないは歯、おそらくないでしょう。著しく病変した歯は、充填して冠を被せると、毒や細菌を閉じ込めて虫歯の培養地を形成し、それが生涯、血流に漏れ出していきます。抜歯したほうが安全です。」
根管を充填された歯は痛みが無く、X線写真で見ても感染の兆候が全くないことがあります。
しかし、「歯科医師は、X線写真が歯の中の感染を正確に写し出さないことは知っています。」とジョージ・E・マイニー歯科医師は話しています。
抜歯を行う歯科医師は、根管治療で充填された歯に問題が無いように見えても感染をしていて、周囲に膿が付いているのをよく見かけます。黒ずんだ歯やひどい悪臭がする歯もあります。根管治療の専門医は、抜歯を滅多に行わないため、根管治療が失敗した兆候に気づいていません。
根管治療を受けたすべての人に問題が起こるわけではありません。プライス博士は、免疫力が高い人は、細菌を制御し感染を防ぐことができることを突き止めました。
しかし同時に、こうした人たちが事故に遭ったり、風邪を引いたり、大きなストレスに晒されると、免疫に過度な負担がかかって感染が生じ、最終的にリウマチ、関節炎、心臓障害や他の二次的疾患が起こることも発見しました。
また、免疫系の力は自然な老化の中で落ちていきます。若い人は根管治療によって深刻な影響を受けないかもしれませんが、年齢が上がると影響を受ける可能性は高まります。高齢者の疾患の多くは、もしかしたら根管治療の結果かもしれません。
そもそも、削っていない綺麗な白い歯があったのです。
しかし、一般的には歯に対する意識が低く、
歯から命にかかわる疾患に繋がることなどまさか思わないのでうかつにも虫歯を軽視してしまい、
重症化して根尖病巣を作ってしまうのです。
根尖病巣は身体に重篤な悪影響を与え続けます。
もし、根尖病巣が治ってもその歯の象牙質(象牙細管内)には細菌や毒素や消毒薬が浸み込んでいて身体に悪影響を与えつづけています。
出来てしまった根尖病巣は根管内嫌気培養を行って治して使うのか、いっそ抜歯してジルコニアインプラントを埋入するか…。
歯を残したいのか、身体を良くしたいのかで治療方針は変わってくると思います。
十分検討する必要があります。
大阪空港(伊丹空港)でモノレールに乗り、「大阪空港駅」から1つ目、「蛍池」駅で降ります。阪急電車(宝塚線)に乗り換えて(モノレールと同じフロアでつながっています)、梅田方面の普通電車(各駅停車)に乗ります。2つ目の岡町駅で下車してください。岡町駅から歩いて10分です。
新幹線の新大阪駅で下車して、地下鉄御堂筋線新大阪駅の千里中央方面行きに乗り、4つ目の駅、桃山台駅で下車してください。(途中、江坂駅で路線が北大阪急行に変わりますが、そのまま乗車していて大丈夫です。)桃山台駅から阪急バスに乗って約10分です。中桜塚4丁目バス停下車すぐです。